物部守屋
折れるまで曲がらない大樹
6世紀後半の日本。古来の神々への祈りを司り、強大な軍事力を誇った物部氏の長は、大陸から流れ込む未知の文化と、それに惹かれる時代の巨大なうねりに真っ向から立ち塞がりました。
絶対権力者である天皇の意向すら退け、誰もが新しい波に流されていく中で、彼だけは古い掟を頑なに守り抜くことを選びます。一切の妥協を拒絶した彼を待っていたのは、権力の中枢から孤立し、周囲すべてを敵に回す破滅の道でした。
そして、587年。大軍の波が本拠地を完全に包囲し、すべてを飲み込もうとしたその日。味方の兵すら恐れをなして次々と逃げ散る絶望的な戦場において、彼だけがただ一人、天を突く榎の木の太い枝に登り、押し寄せる無数の敵兵に向かって雨のように矢を射掛けていました。
孤立無援の空の下で、己の命運が尽きるその瞬間まで、彼をそこまで駆り立てたものは一体何だったのでしょうか。
— noteの記事の導入部分より