中国・戦国
公孫衍
他人の糸で世界を編む
紀元前4世紀、七つの大国が血で血を洗う生存競争を繰り広げていた中国・戦国時代。生まれながらの強大な領地も、自前の軍隊も持たない一介の「遊説の士」が、ひとたび怒れば諸侯を震え上がらせ、沈黙すれば天下の戦火が息むほどの巨大な影響力を手にしました。
彼の名は公孫衍。魏での官名をとって「犀首」とも呼ばれます。
血と鉄の暴力がすべてを支配する乱世において、彼だけが「言葉」という実体のない糸で天下の覇権を編み上げようとしました。
魏・趙・韓・燕・中山の小国群に対し、互いに王号を承認し合う「五国相王」の策を説き、大国の脅威に怯える王たちの自尊心を煽り立てて多国間同盟を結実させました。
絶対君主の信任という極めて不安定な足場の上に立ちながら、自らの才覚のみで世界を動かそうとした男の内側で、果たしてどのような衝動が渦巻いていたのでしょうか。
— noteの記事の導入部分より