カリグラ
全能の演者として求めた、侵されぬ生存の聖域

紀元1世紀前半、共和政の伝統と帝政の実情が混在するローマ帝国において、第3代皇帝として即位した若者がいました。彼の名はカリグラ。
肉親を失った苛烈な政治闘争を生き延び、即位後は従来の元老院との均衡を揺さぶり続けた人物です。
権力の法的根拠すら不安定であった時代に、彼は突如としてナポリ湾の海上に各地から徴発した商船を繋ぎ止め、約5.3キロメートルに及ぶ巨大な舟橋を架けさせました。そして古代の英雄アレクサンドロス大王の胸甲を身に纏い、波の上を馬車で疾走してみせたといいます。
人々はこれを狂気と呼び、後世の歴史家はその記録自体に誇張と悪意が混じっていると指摘しました。
この過剰な演劇性の陰で、彼の内面は何を求めていたのでしょうか。
— noteの記事の導入部分より