小アグリッピナ
すべてを盤上に並べた皇妃が、ただ一つ動かせなかった駒

紀元1世紀のローマ帝国。
実子ネロを帝位へと押し上げ、実質的な共同統治者として国政を主導した女性がいます。小アグリッピナです。
当時のローマ社会において、女性には公的な官職も、軍を動かす権限も一切与えられていませんでした。
しかし、彼女だけは違いました。外国使節が謁見に訪れた荘厳な広間で、軍事力も議決権も持たない彼女が、ただ一人、皇帝の玉座に並んで座ろうと歩みを進めたのです。
女性は裏方に徹するべきだという常識の只中で、なぜ彼女はこれほどまでに剥き出しの形で最高権力を誇示せずにはいられなかったのでしょうか。
彼女の内側では、一体どのような切実な衝動が渦巻いていたのでしょうか。
— noteの記事の導入部分より