ハトシェプスト
異端を「正統」に書き換える。「男装の女王」の環境を言い訳にしない強さ
古代エジプト第18王朝、広大な砂漠を照らす太陽の下で。
ファラオの血を引きながらも、当時の制度や強固な慣習が、女性を玉座から遠ざけていた時代。彼女は、幼い王の摂政という立場から実権を握り、やがて自らファラオとして即位するという前代未聞の治世を切り拓きました。ハトシェプスト。
ファラオは男性であるべきという強固な前提のなかで、彼女は公的な彫像や壁画に自らを「付け髭をつけた男装のファラオ」として描かせ、神の化身としての正統性を世界に認めさせました。終わりのない外征よりも内政と交易を重んじ、プント国への大規模な交易船団を派遣して莫大な富をもたらし、デル・エル・バハリに壮麗な葬祭殿を築き上げました。
あえて伝統という仮面を被ることで、分厚い壁の存在を可視化し、新たな道を切り拓いた彼女の美しくも冷徹な野心の奥底で、一体どのような葛藤が渦巻いていたのでしょうか。
— noteの記事の導入部分より