孫臏
暗闇の幌馬車で、静かに死の糸を引く。友に足を奪われた男の、美しき包囲網
中国戦国時代。血で血を洗う争乱の只中。
暗闇の幌馬車の中で、息を潜める男が一人。 罠にはめられ両足と社会的尊厳を奪われながらも、知略のみで凄絶な復讐を完遂した斉の天才軍師、孫武の子孫と伝えられる孫臏(そんぴん)です。
屈強な武将たちが重厚な戦車を駆り、激しく矛を交える時代。両足をもがれた彼だけが、一歩も動かずに天下の戦局を支配しました。自らは剣を振るわず、ただ見えない糸を引くように。彼の手によって、強大な軍隊はことごとく罠へと絡め取られていきます。
かつての友・龐涓に肉体を破壊された絶望の底で、この男の目にだけは見えていた世界とは、一体どのようなものだったのでしょうか。
— noteの記事の導入部分より