ダビデ王
絶対者に跪き、情動に狂う王
紀元前10世紀の古代オリエント。
バラバラの部族の寄せ集めに過ぎなかったイスラエルを束ね、強大な統一国家の礎を築いた最大の英雄がいます。ダビデ王。
巨大な権力と栄光を手にしながらも、彼の生涯には、理解しがたい異常性がつきまといます。
最も信頼する部下の妻を奪い、その間に生まれた赤子が重病に倒れたときのことです。彼は王の威厳をかなぐり捨て、地面にひれ伏して徹夜で断食祈願を続けたと伝えられます。
しかし、ついに子が息を引き取ったと知らされた瞬間。狂おしいほど悲しむべきはずの父親は、憑き物が落ちたようにすっと起き上がりました。そして、平然と体を洗い、従者に食事を命じたというのです。
「死んでしまった今は、私が断食しても子は戻らない」との言葉を残して。
そう言い放つ彼の内側で、一体何が起きていたのでしょうか。
— noteの記事の導入部分より