クレオパトラ
知性の深淵に座し、最強の「個」にすべてを賭けた女王
「絶世の美女」というラベルは、彼女の真の姿を覆い隠すための薄布に過ぎません。クレオパトラの本質は、七ヶ国語(一説には九ヶ国語)を操り、国家の財政を立て直した冷徹なまでの「知性」と、強力なリーダーと対等に渡り合い、動かす「戦略的直感」にありました。
彼女は、ローマという巨大な波を乗りこなすため、カエサルという世界最強の「個」に狙いを定め、見事に政治的同盟を確実なものにしました。しかし、カエサルの死後、彼女が描いた盤面は少しずつ崩れ始めます。歴史という名の巨大な調べが、「個のカリスマ」から「組織の規律」へと転調していたことに、彼女の鋭すぎる感性は気づかなかったのかもしれません。
— noteの記事の導入部分より