オリエント・インド
アショーカ
大地の悲鳴を「永遠の倫理」で塞いだ贖罪の皇帝
紀元前3世紀のインド亜大陸。
マウリヤ朝の版図を最大に広げ、武力による征服からダルマ(普遍的倫理)の統治へと国家のあり方を根底から覆した皇帝がいました。
武力で領土を奪い取ることこそが王の証明であった時代に、彼だけが殺戮の記憶を隠蔽するどころか、「深い悲しみと後悔」として永遠に消えない岩肌に刻み込んだのです。
カリンガ国への軍事侵攻において、十万人を殺戮し、十五万人を捕虜とした凄惨な現実。その血塗られた光景を前に、彼は絶対権力者としては異例の赤裸々さで懺悔し、国家の舵を大きく切り直しました。
圧倒的な武力と恐怖で帝国を縛り付ける代わりに、なぜ彼は剣を置き、すべての命を救おうと贖罪の道を歩み始めたのでしょうか。
その胸の奥底で渦巻いていたのは、大地の悲鳴を塞ごうとする激しい悔悟の念でした。
— noteの記事の導入部分より