中国・春秋
秦の穆公
過ちを背負い、人を活かす。荒野に血の通った絆を編み上げた異端の覇者
春秋時代の西の辺境、秦。
中原の諸国から「未開の野蛮人」と蔑まれるこの地を、強国へと押し上げた一人の君主がいました。秦の穆公です。
身分や出自による厳格な線引きが絶対であった時代において、彼だけは国の民や奴隷にすら対等の敬意を注ぐ、異端の王として人々の目に映りました。
ある時、彼が大切にしていた良馬が、辺境の農民たちに食い殺されるという事件が起きます。重罪に処されるのが当然の状況で、彼は激怒するどころか、「良馬の肉を食べて酒を飲まないと体を壊す」と笑い飛ばし、彼らに酒を振る舞いました。
罪人すらも無用な駒として切り捨てることを拒絶し、生身の人間として向き合おうとする。その深く温かい眼差しの奥底で、彼はいったい何と戦っていたのでしょうか。
— noteの記事の導入部分より