平城天皇
守りたかった絆の炎が国を焦がす
平安時代初期、権力が二つの都に分断され、国家が引き裂かれようとしていた時代。父の残した政治体制を独自の視点で刷新し、のちに弟である現・天皇と国を二分するほどの激しい争いを巻き起こした元・天皇がいました。
東国へ向けて挙兵し、輿に乗って進軍しようとしたその途上。行く手を知略に長けたかつての征夷大将軍らの軍勢に完全に封鎖されていると知るや否や、彼は無理な抗戦をあっさりと諦めます。そして、熱狂の渦中であったはずの旧都・平城京へと引き返し、静かに髪を下ろしました。最高権力者同士が激突する戦乱の最前線で、ただ一人、彼だけが燃え盛る戦の炎を消し去ったのです。権力の絶頂からどん底までを味わい、最後には一切の執着を捨て去ったように見えた彼。その静かな退き際の奥底には、果たして何が燃えていたのでしょうか。
— noteの記事の導入部分より