中国・戦国
信陵君
王命に背き、義に殉じた「大きすぎる引力」の孤独
戦国時代末期の魏の国。
王族でありながら数千の食客を抱え、祖国と他国の危機を救った総司令官がいました。信陵君(魏無忌)。
絶対的な王権の下で、一介の臣下にすぎない彼が、君主よりも遥かに強大な求心力と決断を見せつけていたのです。
超大国の脅威に各国の君主が震え上がる時代に、彼だけが己の命と百の馬車のみを武器に、無謀なる特攻へと向かっていった瞬間があります。趙の邯鄲が秦軍に包囲され、義兄から「なぜ見捨てるのか」と悲痛な訴えをもたらす使者が届いたとき。魏王が秦を恐れて動かないと知るや、食客だけを引き連れて死地へと赴こうとしました。
あの時、彼が放っていたその引力は、いったい何を引き寄せ、何を軌道から弾き飛ばそうとしていたのでしょうか。
— noteの記事の導入部分より