クレオン
怒号で理性を焼き尽くす「炎の扇動者」
紀元前5世紀のアテナイ。
ペロポネソス戦争の只中で強硬策を主張し、のちの歴史家に「最悪の扇動政治家」と忌み嫌われた男がいます。皮革業で財を成した新興階級の出身、クレオン。彼が歴史の表舞台に躍り出たとき、貴族たちの洗練された議場に、なめし革特有のむせ返るような異臭と、かつてない熱気が立ち込めました。
スファクテリアの戦い。誰もが不可能と恐れたスパルタ兵の降伏という前代未聞の大戦果を、彼は自ら軍を率いて実現してみせました。貴族の洗練が支配する時代に、彼だけが怒号と剥き出しの感情で大衆を巻き込み、奇跡の勝利をもぎ取りました。
冷たい論理ではなく、怒りと不安という生々しい感情に火を放ったこの男の内側で、一体何が燃え盛っていたのでしょうか。
— noteの記事の導入部分より