ヨーロッパ中近世
ラファエロ
聖母を描き、自分を殺した天才の正体
ルネサンスの天才たちが筆を剣のように振るい、互いを出し抜こうと鎬(しのぎ)を削る時代。 気難しさに満ちた教皇の宮廷で、一人だけ、誰とも争わずに巨大な工房を束ねる青年がいました。ラファエロ・サンティ。
レオナルド・ダ・ヴィンチの深遠も、ミケランジェロの激しさも、彼は己の流儀に固執することなく静かに吸収していきます。血を流すような自我と自我がぶつかり合うルネサンスのローマにおいて、彼だけが柔和な微笑みですべてを呑み込み、一切の破綻なき調和を現出させていたのです。
争いを生まないその優美な顔の裏側で、彼がいったい何を切り捨て、どのような渇きを抱え込んでいたのか。その精神の軌跡を辿ります。
— noteの記事の導入部分より