オクタヴィア
権力の嵐を凪に変えた孤高の調律
共和政の黄昏を迎えた紀元前1世紀のローマ。
野心に燃える指導者たちが領土と権力をめぐり、激しい対立を繰り広げていた時代に、初代皇帝アウグストゥスの同母姉であるオクタヴィアという女性がいました。
彼女は政略の渦中にありながら、私利私欲のために権力を求めることなく、血縁と国家の破滅を防ぐために立場を全うした存在でした。
紀元前37年、弟オクタヴィアヌスと夫マルクス・アントニウスの対立が先鋭化し、両軍が武力衝突の一歩手前まで迫ったときのことです。身重であったオクタヴィアは自らタレントゥムの海岸へと向かいました。対峙する二つの軍勢の間を何度も往復し、双方の指導者に語りかけることで会談を実現させ、内戦の惨劇を未然に回避させたのです。
対立の時代にあって、刃を鞘に収めさせたのは、彼女の内にあった平穏への志でした。
— noteの記事の導入部分より