中大兄皇子(天智天皇)
時を刻み、国家の骨格を削り出した苛烈なる設計士
飛鳥の空に、新しい時代の幕開けを告げた若者がいました。
中大兄皇子、後の天智天皇は、古代日本において最も劇的な変革を成し遂げた人物の一人です。天皇家の権威すら凌駕しようとする蘇我氏という巨大な壁、そして権力が分散する「豪族連合体制の限界」に対し、彼は飛鳥板蓋宮(あすかいたぶきのみや)で刃を振るい、歴史の歯車を強引なまでに回しました。さらに、海を越えた唐や新羅という強大な脅威に対しては、防人を配置し水城を築き、国家の存亡を懸けた防衛線を張り巡らせます。
日本で初めて水時計(漏刻)を設置し、「時間」という概念すらも国家の統治機構に組み込んだ彼の眼差しは、常に遠い未来の「律令国家」という完成図を捉えていました。 豪族たちの寄せ集めであった国を、ひとつの強固な集合体へと造り替える。その苛烈なまでの生涯は、類まれな才能の連鎖によって編み出されています。
— noteの記事の導入部分より