弘法大師 空海
祈りを「社会システム」へ実装した変革者
神格化された「弘法大師」のベールを剥ぎ取ったとき、そこに現れるのは、途方もない救済の情熱と、冷徹なまでに研ぎ澄まされた計算能力を持った、類まれなる変革者です。
遣唐使として海を渡り、わずか二年で密教の頂点に立ったことは、決して神懸かり的な奇跡などではありません。彼は日本にいる間に大日経を徹底的に読み込み、長安で第一人者からサンスクリット語を猛烈な勢いで吸収していました。語学と基礎理論という「最も強力な武器」を事前に揃え、完全な武装状態で長安へ乗り込んだのです。
帰国後、留学期間を破った咎めを受け大宰府に留め置かれた際も、彼は決して取り乱さず、焦って動くことなく、じっと沈黙を守りながら、朝廷の権力者たちへ自らの圧倒的な価値を証明する書簡を書き送り、時代を動かすための完璧な「時機」を計っていました。
彼の足跡は、祈りの軌跡であると同時に、日本という国家を精神的な根底から救い上げようとした、壮絶な献身と闘争の記録なのです。
— noteの記事の導入部分より