ソロン
最高のリーダーは、完成と同時に去る。属人化を断ち切ろうとした賢人
紀元前6世紀のアテナイは、今にも裂けそうな都市でした。
借金のかたに奴隷へと落とされた市民が街に溢れ、貴族と民衆は互いの喉元に刃を向けていました。革命か、独裁か。当時の地中海世界において、この二択以外に崩壊を止める道を知っている者はいませんでした。
そこへ一人の人物が現れました。詩人であり、商人であり、アルコン(最高行政官)に選ばれた男。ソロンです。
彼がしたことは、法を作ることでした。血統ではなく財産で参政権を分け、奴隷にされた市民を解放し、裁きを市民の手に渡した。貴族も民衆も、誰もが「不十分だ」と言いました。それでも彼は法を石板に刻み、広場に立てました。誰もが読めるように。誰もが見られるように。
そして法を作り終えた後、ソロンはアテナイを去りました。
誰にも頼まれていませんでした。権力の頂点に立ったまま、立ち去ることを自ら選んだ。十年間、故国に戻りませんでした。この男の内側で、いったい何が動いていたのでしょうか。
— noteの記事の導入部分より