エパメイノンダス
自らを削り尽くした完璧な献身と、引き継げない「勝利」
紀元前4世紀の古代ギリシア・テーバイ。
無敵のスパルタを破り、祖国をギリシアの覇権国へと押し上げた将軍であり哲学者。最高権力者でありながら極端な清貧を貫き、自らの命すら国家という姿なき岩を彫り上げるための道具として使い切った男がいます。
エパメイノンダス。
マンティネイアの激戦で、胸に致命的な槍を受けたあの日。血と欲が渦巻く戦乱の世にあって、彼だけが自らの死よりも勝利の確証を優先し、胸に刺さった槍を抜くことすら許しませんでした。激痛に耐えながら自軍の勝利の報告を聞き届け、その声を聞いた瞬間に「これで私は十分に生きた」と絶命したのです。
なぜそこまで己の命を燃やし尽くし、冷徹なまでに自らの存在を削り出さなければならなかったのでしょうか。この男の奥底で、一体何が起きていたのでしょうか。
— noteの記事の導入部分より