張良
覇権を創り、恩賞を捨てて「盤上」から消えた男。
秦の始皇帝を暗殺せんとした若き日の激情。それは、博浪沙での一撃とともに霧散しました。しかし、歴史の表舞台から姿を消したその日から、彼の真の戦いが始まります。
劉邦という荒削りな人物を見出し、その背後でひっそりと盤面を描き続けた男、張良。
自らは剣を振るわず、血の海を渡ることなく、ただ陣幕の奥に座したまま、はるか遠くの勝利を手繰り寄せる。圧倒的な武力を持つ項羽を前に、彼が選んだのは力による正面突破ではなく、蜘蛛の巣のように張り巡らされた目に見えない罠でした。
建国の功臣となりながらも、権力の頂点には決して手を伸ばさず、風のように歴史の彼方へと消えていった一人の軍師。彼の眼には、一体どのような世界が映っていたのでしょうか。
— noteの記事の導入部分より