中国・春秋
鮑叔
真価を育む肥沃な土壌。歴史の主役を友に譲った、不滅の裏方
春秋時代の斉。
過酷な後継者争いが繰り広げられる中、仕える公子を即位へと導き、国の覇業を支えた政治家がいました。鮑叔(鮑叔牙)。
彼が歴史にその名を深く刻み込んでいるのは、彼自身の華々しい戦功や権力闘争の勝利によるものではありません。 過酷な権力闘争を勝ち抜き、いよいよ最高の地位を掴み取るはずだった瞬間に、彼だけがその栄誉を「かつての敵」である親友に譲り渡しました。
かつて主君の命を狙い、処刑される運命にあった敵陣営の管仲。彼を救うため、鮑叔は主君の前に進み出てこう熱弁を振るいました。
「斉を一国として治めるだけなら私でも足ります。しかし、天下の覇者になりたいのであれば、管仲が絶対に必要です」。
そうして彼は、本来就くべき宰相の座をあっさりと親友に譲ってしまったのです。 血で血を洗う戦乱の世において、なぜ彼は自らの栄達を手放し、友を最高の舞台へ押し上げることに生涯を捧げることができたのでしょうか。
— noteの記事の導入部分より