商の紂王(帝辛)
神意を焼き尽くし、己の力で青銅の国を鋳造した孤独なる覇王
紀元前11世紀の古代中国、商(殷)王朝の末期。
神の声を聞く特権階級がすべてを支配する神権政治の只中で、巨大な青銅の国を己の手で鋳造しようとした最後の王がいました。絶対的な血筋や権威を軽視し、腕力と弁舌だけで万物を統制しようとするその姿は、同時代の者たちの目に、神をも恐れぬ理解不能な暴君として映りました。
牧野の荒野で己の軍が脆くも崩れ去ったと悟ったとき、彼は逃亡も降伏も選びませんでした。豪奢な鹿台へと静かに登り、誇りである無数の宝玉を身にまとい、燃え盛る炎の中へとその身を投げ出しました。
神意と血筋がすべてを支配する時代に、彼だけがただ一人の意志と炎による完全な自己消滅を選び取ったのです。
燃え落ちる玉座のなかで、彼の内側では一体何が起きていたのでしょうか。
— noteの記事の導入部分より