桓武天皇
切り裂いた時代と贖罪の鐘
絶対的な権力で時代を牽引した専制君主が、自らの人生の集大成とも言える国家事業を、臣下の一言でその日のうちにすべて投げ捨てました。
8世紀末。強大な旧仏教勢力が国政に深く根を張る平城京から新天地へと向かい、平安時代400年の礎となる新しい国家体制を築き上げた桓武天皇。一世紀近く続いた天武天皇の血統から外れ、生母が百済渡来人の系譜であるという当時の身分制度においては決して無視できない構造的な壁を背負っての即位でした。
血筋による無条件の支持を得られない中で、彼は次々と強権を振るってしがらみを断ち切り、国家を前へと牽引していきます。身内すら断罪するほどの冷徹な決断を下し、新しい都と領土拡大に執念を燃やしました。だが、血を流してまで手に入れた絶対的な権力の頂で、彼は自らの人生の証明とも言える二大国家事業を、民の苦しみを知らされたその日にすべて投げ捨てることになります。
冷徹な強権と深い贖罪を同居させた彼の内側で、一体何が起きていたのでしょうか。
— noteの記事の導入部分より