淳于髠
正論を捨てて猛獣を操る。恐怖の檻で踊り続けた道化師の美学
中国戦国時代、斉の国。
最も身分が低いとされる「贅婿(ぜいせい=入り婿)」から身を起こした一人の男がいました。淳于髠(じゅんうこん)。
絶対的な権力を持つ王に対し、少しでも逆鱗に触れれば命はないという恐怖が支配する宮廷において、彼は「正論」という剣を最初から捨て去りました。その代わりに彼が選んだのは、奇妙な謎かけや大げさな笑いといった「道化」の振る舞いでした。
王が夜通しの酒宴に溺れて国政を放置したときも、彼は非難するのではなく、「三年鳴かず飛ばずの大鳥」の謎かけを投じます。正面からぶつかるのではなく、ユーモアという見えない手綱で猛獣のような権力者を思い通りに操ったのです。常に死と隣り合わせの檻の中で、道化を演じ続けた彼の奥底では、どのような計算が働いていたのでしょうか。
— noteの記事の導入部分より