阿倍仲麻呂
役割に殉じた誠実さの果てに。異国の月に祈った望郷の天才
帰国船の出航を待つ明州の海辺。
夜空を見上げた彼は、言葉を紡ぎ出しました。
「天の原 ふりさけ見れば 春日なる 三笠の山に 出でし月かも」。
海という物理的な隔絶に誰もが絶望する時代に、彼だけが異国の月と故郷の月を重ね合わせ、見えない繋がりを確信しました。
奈良時代の日本から唐の長安へ渡った一人の若者は、外国人でありながら唐の朝廷で高官として生涯を生き抜きます。 時の皇帝や、李白、王維といった同時代の超一流の文化人たちから深く愛され、重用され続けたのです。
遠く離れた異国の大地で、なぜ彼はそれほどまでに人々と深く結びつくことができたのか。 華やかな足跡の内側で、どのような葛藤の波紋が広がっていたのでしょうか。
— noteの記事の導入部分より