日本・戦国
上杉謙信
義の旋律を奏でる、毘沙門天の化身
春日山城の奥深く、薄暗い毘沙門堂。泥でできた小さな仏像の前に、一人の男がじっと座り込んでいます。
上杉謙信。誰もが生き残るために平然と裏切りを重ね、昨日までの主君の首を天秤にかける血塗られた時代。そんなぬかるみのような現実世界から逃れるように、彼は静かに杯を傾け、見えない神仏との対話を繰り返しました。
「軍神」と畏れられ、戦場では冷徹な刃のごとく敵を斬り裂いた男。しかしその甲冑の下には、濁りきった世界にどうしても馴染むことができず、ただ一つ残された美しい秩序を守り抜こうと必死に足掻く、あまりにも不器用で傷つきやすい一人の人間の魂が震えていました。
— noteの記事の導入部分より