石田三成
正しさという名の孤独をまとい、泰平の土台を築いた男
戦国という時代は、血と泥、そして果てしない欲望の匂いがします。武将たちは己の武功を誇り、力によって領土を奪い合いました。しかし、豊臣政権下において、その熱狂的な破壊のエネルギーを「国家の統治」という秩序へと作り変えた男がいます。石田三成。彼の手には、敵を貫く槍ではなく、土地を測る水縄と、収支をはじく算盤が握られていました。
陣羽織に染め抜かれた「大一大万大吉」。天下が一つになり、万民が豊かになることを願う縁起言葉。それは決して、近代の民主主義的なスローガンなどではありません。混沌とした乱世を終わらせ、ひとつの揺るぎない理(ことわり)のもとに天下を束ねようとする、まじないのような骨太な祈り。彼は決して血の通わない官僚ではなく、その胸の奥には誰よりも熱く、そして不器用な情熱の炎を燃やしていました。その純白の祈りを現実の設計図に落とし込むため、彼は生涯をかけて、時代の重さを測り続けたのです。
— noteの記事の導入部分より