前田利家
槍を算盤に持ち替え、均衡を縫った「静寂なる重石」
血気盛んに槍を振るっていた若武者は、やがて諸将の間に無言で座し、天下の亀裂を身ひとつで塞ぐ防波堤となりました。加賀百万石の祖、前田利家の生涯は、動から静へと向かう深い沈黙の軌跡を描いています。
かつて前線を駆け抜けた男は、陣中において愛用の算盤を弾き、金銭や兵糧を1文、1合単位で記録し続けました。平時は財布の紐を固く締めながらも、一大事には蓄えた黄金を惜しげもなく床に積み上げる。そして晩年、豊臣政権下で相容れない武断派と文治派、さらには徳川家康という異なる思惑が激突する中、彼は決して槍を抜かず、ただその中心に留まり続けました。
— noteの記事の導入部分より