ポリュビオス
祖国の敗亡を解剖台に乗せた、冷徹なる観測儀
紀元前2世紀の地中海世界。
同盟国からの人質としてローマに送られながらも、歴史家としてローマ覇権の理由を解明した一人の男がいました。ポリュビオス。
祖国ギリシャが踏みにじられたその時代に、彼だけが怒りを封印し、敵の強さの理由を解剖台に乗せたのです。同胞たちがローマへの激しい憎悪を燃やす中、彼は執政官、元老院、民会という政治制度の絶妙なバランスを、徹夜で紙片に書き連ねていました。愛する祖国を滅ぼした敵国のシステムの美しさを、歴史を測る冷徹な観測儀のようにただ静かに記録し続けた男。
その凍てつくような眼差しの奥で、彼はいったい何を見つめていたのでしょうか。
— noteの記事の導入部分より