デキムス・ユニウス・ブルータス
信頼と役割の狭間に立った男
紀元前1世紀後半の古代ローマ。
広大な領土を束ねてきた共和政が限界を迎え、軍閥政治家たちが覇権を争う激動の時代の中に生きた一人の将軍がいました。デキムス・ユニウス・ブルータス。
独裁官ガイウス・ユリウス・カエサルに深く仕え、数々の海戦で軍功を上げた側近でありながら、歴史には「カエサルを殺したもう一人のブルータス」として名を刻むことになります。
紀元前44年3月15日の朝。不吉な夢を見た妻の言葉や体調不良により、元老院議場への登院を躊躇していたカエサル。その邸宅を訪れたデキムスは、戸惑う主君の手を取り、不吉な占いを笑い飛ばしながら議場へと連れ出しました。カエサルの遺言状で「第二相続人」に指名されるほどの信任を得ていた側近。その男こそが、カエサルを議場へ向かわせる決定的な役割を果たしました。
— noteの記事の導入部分より