ティベリウス
孤独を乞うた皇帝が残した、支配を拒むための書簡
紀元前1世紀末から紀元1世紀前半の古代ローマ。
初代アウグストゥスの跡を継ぎ、帝国の基盤を冷徹な実務で固めた第2代皇帝がいました。彼の名はティベリウス。
最高権力を手にしながらも歓喜せず、むしろそこから逃れるように孤独と沈黙を選び続けた姿は、同時代の人々の目に奇異に映りました。
まだ彼が皇帝になる前、絶対的な命令によって最愛の妻と強制的に引き離された後のことです。ローマの路上で偶然元妻とすれ違ったティベリウスは、涙を流してその姿を凝視し続けたと伝えられます。その動揺があまりに激しかったため、二度と二人が遭遇しないよう宮廷が手配したほどでした。
帝国の全権力を約束された最高権力者でありながら、人目をはばからず涙を流し続けた人間。最高権力という重責の裏側で、彼が命がけで守ろうとした内なる領域とは何だったのでしょうか。
— noteの記事の導入部分より