古代ローマ
キケロ
言葉に命を宿し、懊悩の中に共和政の魂を刻んだ雄弁家
カエサルが剣で世界を切り拓いたなら、キケロは「言葉」という名の正義でローマを支えようとしました。
叩き上げの身から最高権力である執政官にまで登り詰めた、稀代の弁護士であり哲学者、マルクス・トゥッリウス・キケロ。
彼はカエサルという巨大な嵐を前に、恐れ、迷い、友への手紙に人間らしい弱音を打ち明け続けました。軍司令官達が次々と血の決断を下す中、ただ一人立ち止まり、歴史の行く末を見つめていたその姿は、後世から「優柔不断」と嘲笑されることになります。しかし、どこにも向かえないその深い迷いこそが、西洋の知性の礎となる重厚な哲学を生み出しました。
— noteの記事の導入部分より