ルキウス・リキニウス・ルクルス
戦場に秩序を、食卓に美学を
歴史上では「贅沢三昧の生活を送った隠居者」として、あるいは「美食家」の代名詞としてその名を残しています。しかし、その華美な生活の裏側にあったのは、驚くほど緻密で、冷徹なまでに正確な「世界の設計図」を読み解く力でした。彼は、ただ富を浪費した男ではありません。混沌とした戦場や、腐敗した属州政治という「無秩序」の中に、自分なりの「完璧な調和」を打ち立てようとした、孤独な建築家のような人物でした。
彼はポンペイウスやカエサルという巨大な影に隠れがちですが、ミトリダテス戦争で見せた軍事的才能、そして属州アジアの債務問題を解決した際の卓越した行政能力は、当時のローマにおいて群を抜いていました。
— noteの記事の導入部分より