マルクス・リキニウス・クラッスス
富で絶望を買い叩いた男が、熱砂に求めた幻
共和政末期のローマ。
富で政界を操り、三頭政治の一角を担った巨頭、クラッスス。
彼の目には、すべての人間の苦難や恐怖が、富を増幅させるための取引の材料としてしか映っていませんでした。
ある日、ローマ市内で大火災が発生します。
逃げ惑う市民の前に即座に駆けつけたのは、彼が組織した私兵の消防・建築部隊。しかし、彼らはすぐには消火に動きません。家屋が焼け落ちる絶望の炎を前に、彼だけが感情を完全に排し、燃え盛る家や周囲の土地を底値で譲り渡すという冷徹な契約書を突きつける。署名が交わされて初めて、消火が命じられるのです。
すべてを容赦なく天秤にかけるこの男の内側では、一体どのような執念が渦巻いていたのでしょうか。
— noteの記事の導入部分より