日本・平安
伝教大師 最澄
一隅を照らす不滅の法灯、「正しさ」を貫く孤独
将来を約束された国家公認のエリート僧という輝かしい地位。 それをためらいもなく捨て去り、彼は若くして比叡山の深い森へと姿を消しました。
当時の仏教は、一部の特権階級のための学問であり、国家の安泰を祈るための装置にすぎませんでした。 しかし、彼の眼に映っていたのは、救済からこぼれ落ちる無数の民衆の姿。 すべての人に、等しく仏となる種が宿っていると考えたのです。 その途方もない理想を現実のものとするため、草庵に籠もり、ただひたすらに自己を鍛え上げました。
国家という巨大な権威に抗い、既存の宗派と激しく衝突し、時に、最も深く理解し合いたかった同時代の天才・空海と決別してまでも、決して己の正義を曲げなかった孤高の行者。 彼が身を焦がして灯した小さな炎は、やがて日本仏教全体を照らす巨大な光明となっていきます。
— noteの記事の導入部分より