光武帝 劉秀
粛清なき「復興」を成し遂げた至誠の帝王
紀元一世紀。かつて四百年を誇った漢王朝の威光は、跡形もなく壊れ去っていました。誰もが隣人の「最後の一握の粟(あわ)」を奪うことしか考えられない、泥を啜(すす)るような日々に、一人の男が立っていました。
劉秀。後に光武帝と呼ばれるその男は、皇帝の血筋に連なりながらも、初めは一介の農夫として土にまみれて生きていました。彼を突き動かしていたのは、天下を統べるという野心ではありません。それは、踏みにじられた大地を、もう一度、人が呼吸できる場所へと戻さずにはいられない、抗えない「疼き」でした。暴力という使い古された道具を捨て、自らの心という、あまりに脆く、それでいて何よりも真っ直ぐな意志を手に、彼は戦乱という荒野に一筋の正しさを刻み始めました。
— noteの記事の導入部分より